個人年金保険 一括受取 年金受取 どちらが有利か?
今年も年末調整、確定申告の時期が近づいてきました。
先日、ちょっと面白い事例の相談があったので紹介します。
これは税金面からの有利不利を計算してみました。
紹介する事例は(金額は仮に設定したものです)
・給与収入 200万円
・公的年金 80万円
・個人年金保険 一時金で受け取るなら100万円 (一時金―費用相当金額を計算)
年金で受け取るなら 60万円 (年額×10年間)
・年齢は65歳未満
年金受取 一括受取 どちらが有利か?
税金面から比較するには税率を掛ける前の「課税対象額」が少ない方が有利ということになります。
まず、収入の種類ごと(給与とか年金とか)に「所得金額」を計算します。
所得金額=収入―経費 です。
この経費の計算が収入の種類ごとに違うのです。
給与の場合
これは源泉徴収票を見ればすぐにわかります。(その年分の最後の給与支払時にもらえます)
平成28年分以降に使われているもので、一部を切り取っています。
赤字の「1」:支払金額 ・・・ 給与収入(手取りではありません)
青字の「2」:給与所得 ・・・ 給与所得控除後の金額 を記載されています。
意味は、「1」から経費を差し引いた所得 ということです。
給与の場合、収入により経費は決められています。
給与所得控除後の給与等の金額 が国税庁のHPに公開されているので確認してください。
給与収入「1」が表のどのランクに入っているかを探せば、給与所得「2」がわかります。
今回の例の場合は、給与収入200万円なので
この表で、給与所得は122万円になります。
公的年金の場合
年齢が65歳未満かどうかで、経費(控除額)が変わります。
詳細は国税庁のHPでご確認ください。
今回の例では、65歳未満、年金収入は80万円なので
経費(控除額)は70万円になります。
年金所得=80万円-70万円 =10万円 となります。
個人年金保険
・一時金で受け取った場合、「一時所得」
・年金で受け取った場合、「雑所得」になります。
この場合は、支払会社より支払明細書が送られてきますので、その記載内容を確認して
「雑所得金額」と記載された金額です。
一時所得の場合(一括受取)
収入額-収入を得るために支出した金額-特別控除額(最高50万円)=一時所得の金額
で計算します。
この例では、
収入額-収入を得るために支出した金額=100万円 としていますので
一時所得の金額=100万円―50万円(特別控除額)=50万円
合計所得金額
・一括受取の場合
給与所得122万円+年金所得10万円+一時所得50万円=182万円
・年金受取の場合
給与所得122万円+年金所得10万円+上記の雑所得=132万円+雑所得
これで終わりではありません。
課税対象額
一時所得の場合、所得の1/2が課税対象になるので、税額計算は
・一括受取の場合
給与所得122万円+年金所得10万円+一時所得50万円×1/2=157万円
・年金受取の場合
変わらず、132万円+雑所得
結果、雑所得の金額が25万円以上なら一括で受け取った方が有利!
ということになります。
65歳以上だったら
年金所得の計算方法が変わって、
年金の控除額が120万円までは「0」になります。
給与所得122万円+年金所得0円+上記の雑所得=122万円+雑所得
結果、雑所得の金額が35万円以上なら一括で受け取った方が有利!
ということになります。
ただし、一括受取は一回きりですが、
年金受取は翌年以降も同様に計算されるので、年金以外の翌年以降の収入状況により有利、不利は変わってきます。
税額は
{課税対象額-所得控除(社会保険料や扶養控除など)}×税率 で計算されます。